【アメリカ利下げついにバブル到来!?】米国利下げ後の相場見通しについて

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9月18日のFOMC(米連邦公開市場委員会)は、通常の倍となる0.5%の幅で4年半ぶりの利下げを決めました

アメリカ利下げが金融市場や経済に与える影響は非常に大きく、特に「バブル到来」との見方がが高まることがあります。では、利下げがどのようにバブルを引き起こす可能性のでしょうか?そのメカニズムを解説しながら、今後の見通しについて、考察していきましょう。

Stone Mountain 編集長

FOMCの利下げを受けて、19日の日経平均は755円高で終わりました。
市場は強気の流れが出てきているようですが、本当にThis is バブルなのでしょうか?

目次

利下げとは何か?

まず、利下げとは何かを理解することが重要です。利下げとは、中央銀行、特にアメリカでは連邦準備制度理事会(FRB)が政策金利を引き下げることを指します。政策金利とは、銀行間での貸し借りに適用される短期金利のことで、これが下がると銀行の貸出金利も下がり、企業や個人が資金を借りやすくなります。

利下げの目的は主に経済を刺激することです。金利が下がると、企業は設備投資や研究開発に積極的に資金を投入しやすくなり、個人も住宅ローンや消費を増やす傾向があります。これにより経済全体の活動が活発になり、雇用の増加や経済成長が促進されるのです。

利下げがバブルを引き起こすメカニズム

では、利下げがどのようにバブルを引き起こす可能性があるのでしょうか?そのメカニズムを見ていきましょう。

資産価格の上昇

利下げによって金利が低下すると、投資家は預金や債券といった低リスク資産から、株式や不動産などのリスク資産に資金を移す傾向があります。これは、低金利の環境では預金や債券の利回りが低いため、より高いリターンを求めて他の投資先を探すからです。この動きが加速すると、株式市場や不動産市場に大量の資金が流れ込み、資産価格が急速に上昇することがあります

過剰なリスクテイク

低金利環境では、借り入れコストが低くなるため、企業や個人はより多くの資金を借り入れることが容易になります。この結果、投資家は高リスクの投資に手を出しやすくなります。リスクの高い企業への投資や、新興市場への投資、不動産への過剰な投資などが増え、結果として市場におけるリスクの蓄積が進行します。これがバブルの形成につながるのです。

信用の拡大

利下げにより銀行の貸出金利が低下すると、企業や個人への貸し出しが増えます。銀行が積極的に融資を行うことで、経済全体の信用供給が拡大し、消費や投資活動が活発化します。しかし、信用供給の拡大が行き過ぎると、借り手の信用リスクが高まり、最終的には金融システム全体に不安定性をもたらすことがあります。例えば、住宅バブルが崩壊した2008年のリーマンショックは、過剰な住宅ローンの貸し出しが原因の一つでした。

過去のバブルと利下げの関係

歴史的に見ると、利下げがバブルを引き起こした例は少なくありません。例えば、1980年の日本バブル景気、2000年代初頭のITバブルや2008年の住宅バブルの前にも、利下げが関わっています。これらの利下げは、一時的に経済を活性化させる効果があったものの、同時に資産価格の過剰な上昇とリスクの蓄積を促し、最終的にはバブル崩壊という形で経済に大きな悪影響を及ぼしました。

日本バブル経済

1980年代後半、日本は急速な経済成長を背景に、株式市場と不動産市場が急騰しました。政府の金融緩和政策により、低金利環境が続き、企業や個人の投資活動が活発化しました。また、銀行の過剰な貸し出しにより、不動産への投資が過熱し、土地価格が異常に上昇しました。

Stone Mountain 編集長

1989年12月29日に日経平均株価が史上最高値3万8915円を記録して以来、ついに2024年2月22日に最高値を更新しました!
この間、失われた30年と言われてきましたが、亀田大毅の生まれも1989年なので、失われた亀田大毅と覚えておいてください。

ITバブル(ドットコムバブル)

1990年代後半から2000年代初頭にかけてのITバブルでは、*FRBが1998年のアジア通貨危機とロシア財政危機に対応して利下げを行ったことが、株式市場への資金流入を加速させました。当時のインターネット普及とともにIT企業への投資熱が高まりました。多くの投資家がインターネット関連企業に巨額の資金を投入し、新興IT企業の株価は急騰しました。企業の実態や収益性を無視した投機的な動きが見られ、株式市場全体が過熱しました。

しかし、2000年に入ると、IT企業の多くが期待された収益を上げられないことが明らかになり、株価は急落しました。特にドットコム企業の倒産が相次ぎ、投資家は巨額の損失を被りました。

*FRB(連邦準備制度理事会)とは、米国で金融政策の策定に当たる理事会のことです。政策金利の引き上げ、引き下げや量的緩和などの決定する機関です。日本では日本銀行がFRBの役割を果たします。

住宅バブル

2000年代中期、アメリカでは住宅市場が急騰し、住宅バブルが形成されました。低金利政策と金融機関によるサブプライムローンの積極的な貸し出しにより、多くの人々が住宅を購入しました。これにより住宅価格は急上昇し、不動産市場が過熱しました。

しかし、2007年住宅価格の下落が始まり、多くの借り手が住宅ローンの返済に行き詰まりました。サブプライムローンの証券化商品を保有していた金融機関は巨額の損失を被り、2008年にはリーマン・ブラザーズの破綻を引き金に世界的な金融危機が発生することになります。

このリーマンショックの影響で、日経平均はバブル後の最安値となる6,994円まで下落しました

現在の状況と直近の株価急落

では、現在のアメリカの状況はどうでしょうか?2020年以降、新型コロナウイルスのパンデミックに対応するため、FRBは歴史的な低金利政策を実施し、さらには大規模な量的緩和を行いました。この結果、株式市場や不動産市場では価格の急騰が見られました。トランプ政権の下、米中貿易摩擦が激化しましたが、この度重なる利下げ政策のおかげで、影響は限定的でした。

バイデン政権に変わり、自動生成AIの出現と重なる形で、GAFAMを中心としたテクノロジー企業を中心に株価が急上昇し、半導体関連の株価も上昇しました。コロナ収束後のタイミングから一転利上げを繰り返していたものの、株価は上がり続けるという結果となり、アメリカの強い景気が影響していたと考えられます

しかし、直近では、日銀が17年ぶりに利上げを決定したことから、ドル円の為替相場が急激に円高に振れることになり、日米ともに株価が急落しました。*円キャリー取引が要因ではないかという意見もありますが、日経平均も短期間でかなり上がっていた状況だったため、市場は何か調整するきっかけを探していたのではないかと考えます。

*円キャリー取引とは、低金利通貨である円で借り入れをして高金利国の金融資産等で運用し、運用益に加えて金利の利ざやを獲得しようとする取引です。

三井住友DSアセットマネジメント

【市川レポート】円キャリー取引と日本株急落の関係について 2024年8月22日

https://www.smd-am.co.jp/market/ichikawa/2024/08/irepo240822

今後の見通し

アメリカの今回の利下げ政策は、経済の活性化を目的としたものであると考えると、バブルの発射台に乗っている可能性は高いです。また、これまでの過去の事例からも、低金利環境が資産価格の急騰をもたらしてきたことから、この環境が続けば、今後の相場の見通しは明るいと考えます。

但し、短期で急激に株価が上昇する等の相場局面次第では、日本銀行が更なる利上げを実行するというウルトラCのカードを切る可能性があるので要注意です。そうなると、ドル円相場がまた、急激に円高になる可能性があるため、再び株価が急落することも予想されます

従って、今後の日銀とFRBの金融政策の動向と市場の反応を注視し、適切なリスク管理を行うことが何よりも重要になるでしょう。

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