
2024年10月1日、アメリカ東部とメキシコ湾岸で始まったアメリカ港湾労働者のストライキは、世界中の投資家が大きな注目を浴びる出来事となりました。一時は労働交渉が長引く懸念もありましたが、賃上げについて暫定的な合意に達したため、ストライキはいったん終了となりました。
この間、港湾の物流が鈍りコンテナ船運賃が上昇するとの思惑から、一時、「日本郵船」、「商船三井」、「川崎汽船」などの海運株が買われていましたが、ストライキ終了の報道後は一転して売りが優勢になっています。
本記事では、そんな不安定な状況下にある海運株の特徴と、今後の見通しについて詳しく解説します。

直近押し目まで下落しているバルチック海運指数に加えて、不安定な中東情勢による原油高、為替もドル高に戻している局面を見ると、
あれ?海運株って今が仕込み時じゃないか?って思った方も多いと思います。それでは解説していきましょう!!
国内海運株の特徴
海運株の基本的な仕組み
国内海運株は、主に商船会社や物流企業のことを指します。これらの企業は、貨物輸送、物流サービス、海上運送を主な事業としています。海運業界は、景気変動や国際的な貿易摩擦に敏感に反応するため、株価が大きく動くことが特徴です。また、燃料価格の変動や為替相場の影響も受けやすい点が挙げられます。
景気の先行きを判断する重要な指数として、「バルチック海運指数」があります。鉄鉱石や石炭、穀物などを運ぶ船で、ばら積み船の値動きを総合的に表しています。特に、最大の輸入国である中国経済の強弱が指数に反映されやすく、世界経済や商品市況の先行指標として、常に投資家がチェックしています。
国内海運株の主要銘柄
国内海運株には、以下のような主要3銘柄があります。
- 日本郵船(9101):日本最大級の総合物流企業で、グローバルなネットワークを持つ。
- 商船三井(9104):タンカーやバルクキャリアなど、多岐にわたる船種を保有している。
- 川崎汽船(9107):自動車輸送に強みを持つ海運会社で、アジア地域でのプレゼンスが高い。
高利回りが魅力的
これらの企業は概ね5%前後の配当利回りとなっており、高配当が魅力の一つとなっています。その理由として、以下が挙げられます。
- キャッシュフローの安定性:海運業界は、設備投資が大きい一方で、運賃収入が一定の安定性を持っているため、安定したキャッシュフローを生み出すことができます。これにより、企業は株主に利益を還元しやすい状況にあります。
- 景気の影響を受けやすい:海運業界は景気循環に影響されやすく、業績の変動が大きいです。しかし、景気が好調な時期には大幅な利益を上げることが多く、その利益を積極的に株主に配分することで、配当利回りが高くなる傾向にあります。
- 株主還元の重視:日本の海運企業は、株主還元を重要視しており、業績に応じて増配を行うことがあります。これにより、株主に対して高いリターンを提供することを目指しています。
港湾ストライキ終結後の国内海運株の見通し
ストライキ終結による輸送運賃への影響
アメリカの港湾ストライキが終結したことで、貨物の流れが正常化することになり、輸送運賃が徐々に安定を取り戻すことが予想されます。海運業界の売上は輸送運賃が大部分を占めているため、輸送運賃が下がることは、売上が減少することを意味します。しかしながら、不安定な中東情勢による原油価格の高騰や、ドル高の影響もあり、今後、輸送運賃が上がっていく可能性も否定できないため、注意深く見ていく必要があります。また、世界景気が上向いている場合、投資や消費活動が活発化するため、世界で輸送需要が増えるため船の運賃が上昇し、他の企業以上に業績の拡大や株価の上昇につながりやすくなります。世界景気については、アメリカの主要経済指標をこまめにチェックすることも重要です。

政治情勢の変化と国内海運株への影響
しかし、ストライキの終結が短期的な安定をもたらす一方で、長期的な視点では国際貿易環境の変化に注意が必要です。特に、2024年11月5日に予定しているアメリカ大統領選挙には要注目です。それぞれの候補者が当選した場合の影響について以下のように推察します。
- カマラ・ハリスの場合:国際協調と持続可能な経済成長を重視するため、長期的には世界経済の安定や成長にプラスに働く可能性があります。特に、環境問題への対応や多国間貿易の推進は、グローバルな経済成長を後押しする要素となるでしょう。
- ドナルド・トランプの場合:短期的には減税と規制緩和によって経済が活性化し、株式市場にもプラスの影響を与える可能性があります。しかし、貿易摩擦の激化や保護主義政策により、世界経済が不安定になるリスクも存在します。
特に、トランプ当選の場合、米中貿易摩擦が激化することも予想されるため、その動向に注視していく必要がありそうです。

トランプさん、自分の事を「I’m a Tax man」って言ってましたね。
当選したら、鬼のように海外諸国に関税を課す可能性が高いです。。
マジで恐ろしい。これにはどこかのロケットマンも戦々恐々でしょう。
投資家にとって、国内海運株は引き続き魅力的な投資対象となりますが、今後の国際情勢や為替相場の変動には注視が必要です。また、環境規制や燃料価格の変動も重要なファクターとなるため、これらのリスクを織り込んだ投資戦略を構築することが求められます。
結論
アメリカの港湾ストライキ終結による株式の下落は、一時的な影響に留まると考えます。したがって、一時的な下落に右往左往することなく、長期の景気トレンドを予測していくことが成功への鍵になるでしょう。
国内海運株は、今後も注目すべき分野であり、経済の動向に応じた適切な判断が求められます。今後の市場の動きに対しても、最新情報をしっかりとキャッチし、柔軟に対応していきましょう。