
今回は、1990年代のウォール街で名を馳せた株式ブローカーであるジョーダン・ベルフォートについて紹介します。常識外れのド派手な金遣いが彼の真骨頂で、正にアメリカンドリームを体現したような人物です。
学歴もコネも経験もない中で掴んだ華やかな成功とその裏で、欲望に溺れていく劇的な転落の物語は、多くの人の興味を惹いています。本記事では、そんな波瀾万丈な人生をピックアップして纏めてみました。
彼の人生は、映画『ウルフ・オブ・ウォールストリート』の原作としても知られ、金融界の栄光とリスクを象徴するものとして語り継がれています。

「金、ドラッグ、セックス」など、なんでもありの破天荒男!!
男のすべての欲望を叶えたといっても過言ではありません。アメリカ版勝新太郎とでも言いましょうか。
そんなギラギラの最長点を極めた男のストーリーです。
幼少期とキャリアの始まり
ジョーダン・ベルフォート(以下ベルフォート)は1962年にニューヨークで生まれました。
若い頃から商才に優れ、大学時代にはアイスクリームの売り上げで数万ドルを稼ぐなど、起業家精神に富んでいました。彼の初期のキャリアビジョンは、歯科医を志していましたが、最終的には株式市場へと向かうことになります。
彼はまず、伝統的な株式仲介会社でキャリアをスタートしましたが、その後、より高リスクで高リターンの*ペニー株の世界に引き込まれていきました。
*ペニー株:一般的には1株あたり5ドル未満で取引される、小さな会社の株式のことを指す。店頭市場で取引されることが多く、規制や情報開示が緩いため、高いリスクとリターンを伴う投資とされている。
ストラットン・オークモント社の設立と成功
1989年、ベルフォートはストラットン・オークモント社を設立しました。
この会社は、ペニー株を一般投資家に売り込むことで急速に成長し、最終的には数億ドル規模の企業となりました。
彼の営業手法は非常に攻撃的で、「ブローカー軍団」を育成し、電話勧誘による売り込みで莫大な利益を上げていました。これらの手法には、詐欺的な行為も含まれており、*ポンプ・アンド・ダンプと呼ばれる違法な株価操作を行っていました。
こうして財を成したベルフォートは、絵にかいたような贅沢な生活を送るようになり、高級車やヨット、豪邸を所有し、従業員と連日にわたり派手なパーティーを開催するなど、その暮らしぶりはまさに「ウォール街の狼」と呼ばれるにふさわしいものでした。しかし、この豪華な生活の裏には、ドラッグやアルコール、無謀な投資といった自己破壊的な行為も含まれていました。
*ポンプ・アンド・ダンプ:短時間で価値のない資産の価格をつり上げた後で売りたたく違法スキーム
法律との対立と絶頂からの転落
ストラットン・オークモント社の急成長は、すぐに規制当局の注目を集めました。ベルフォートと彼の会社は、証券取引委員会(SEC)や連邦捜査局(FBI)による捜査の対象となり、最終的には1999年に詐欺とマネーロンダリングの罪で起訴されました。ベルフォートは、共謀者として多くの従業員や顧客を裏切り、捜査に協力することで刑期を軽減し、2003年に4年間の懲役刑を宣告されました。しかし、実際に服役したのは22ヶ月で、さらに1億1,000万ドル以上の賠償金を支払うことになりました。
再生への道
服役後、ベルフォートは自らの経験を活かして、新たな人生を歩み始めました。彼は作家、講演家、モチベーショナルスピーカーとしてのキャリアを築き上げ、自伝『ウルフ・オブ・ウォールストリート』を出版しました。この自伝は、彼の波乱に満ちた人生とウォール街での経験を赤裸々に綴ったもので、2013年にはレオナルド・ディカプリオ主演で映画化され、世界中で大ヒットしました。

「ウルフ・オブ・ウォールストリート」の映画、痺れるぐらい大好きです!!ちなみに筆者は、某証券会社の採用面接で、志望動機は「ウルフ・オブ・ウォールストリート」を見て、The証券マンに憧れて入社を希望しました!!と言ったら見事に受かりました(爆)
作中これでもか、というぐらい人間の欲が溢れており、それが生々しくも痛快に感じられます。興味がある方は是非、見てみてください!
ただし、彼の過去の行いから批判も根強く、彼が本当に更生したのか、再び詐欺的な行為に関与する可能性がないのかを疑問視する声が挙がっていることも事実です。
講演活動で引っ張りだこ
現在は、ベルフォートは講演活動を通じて、リーダーシップ、セールス、モチベーションのメソッドを広めています。世界25カ国以上で講演活動を行いながら、上場有名企業50社をコンサルティングしているそうです。特に「*ストレート・ライン・セールス」メソッドは、セールスパーソンやビジネスマンに広く支持されています。
自身の回想録『ウォール街の狼が明かす ヤバすぎる成功法則』は世界中の言語に翻訳され発売されており、ニューヨーク・タイムズ紙のベストセラーにもなりました。
彼の人生の教訓
彼は自身の過ちを認め、過去の行為を非難する一方で、彼が開発したセールス技術を教えることで、他者の成功を支援するという新たな目的を持っています。しかし、彼の評判は完全に回復したわけではなく、彼を疑念の目で見る人々も少なくありません。
しかし、ジョーダン・ベルフォートの物語は、野心と過ち、成功と失敗の両方を象徴するものです。彼の成功は、ある意味でアメリカン・ドリームの具現化であり、努力とリスクを取ることで大きな富を手に入れることができるという信念を示しています。しかし、その過程で彼が行った違法行為や他者への損害は、倫理と道徳の重要性を強く訴えかけます。
彼の経験は、特に金融業界における規制と監視の重要性を浮き彫りにしました。ベルフォートの行動は、金融市場が持つ潜在的な危険性を明らかにし、投資家保護のための規制強化や教育の必要性を示しています。
おわりに
いかがでしたか?
ジョーダン・ベルフォートの人生は、成功と失敗、贅沢と破滅、自己破壊と再生という対照的な要素に満ちています。彼の物語は、金融市場の光と影を映し出すものであり、成功を追求することの代償や倫理的な選択の重要性について考えさせられます。彼が現在どのような道を歩んでいるにせよ、彼の経験から学ぶべき教訓は多く、特に若い世代のビジネスパーソンにとっては、警鐘でありながらも希望の象徴とも言えるかもしれません。